的確な日本語が見つからない: Credit

Authorship Diplomacyという論文を読んでいて気が付いたこの問題。

Creditなんてよく使う単語なのに、ピンと来る訳語が見つからないのです。

ここでいうCreditは、「(あなたの)業績であると認めること」という意味なので「与信」に似たようなコンセプトです。この意味で使う場合のcreditは、私が知る限りほとんどの場合、名詞として使われています。

Extra names dilute the credit allocated to deserving authors and obscure responsibility for the work.

(和訳例:名前を増やしてしまうと、本来creditをもらうべき著者に対するcreditが希釈されてしまうとともに、その業績に対する責任が曖昧になってしまう。)

私が愛用するALCオンライン辞書では、訳例が17個も書かれていますが、どれも今一つしっくり来ません。
「功績」という訳語が近いと思いますが、「功績の付与」「功績として認めること」というようなrecognisionというニュアンスがこのcreditにはあることに注目したいのです。

かといって、「クレジット」とカタカナ語を造語するのは安直な方法のような気がして納得できませんし。

「功績認定」というのは堅すぎるでしょうか。



関連した問題(チャレンジ)ですが、authorshipも一筋縄では行かない単語です。
平たくいえば「書くこと」。
けれども、論文のauthorshipを対象とした場合、「著述」という単語はニュアンスがずれると思いませんか?
「著者であること」という意味とニュアンスを表現したいのですけれどね。

今回取り上げたAuthorship Diplomacyも、上手に訳すことは難しいのです。
「外交的な論文著作功績認定」ではあまりにも直訳すぎる。
「論文投稿をめぐる外交術」とでも意訳した方が、ニュアンスが伝わりそうです。



Authorship Diplomacy
American Scientist, Vol. 99, No. 3, p.204-207
Melissa Anderson, Felly Chiteng kot, Marta Shaw, Christine Lepkowski, Raymond De Vries