A perfect storm 同時多発は千載一隅?!

某IT企業でのプレゼンテーションで "a perfect storm" という表現を使った人がいて印象に残りました。映画 "Perfect Storm" のヒットによりよく使われるようになったフレーズです。

元々の意味は、一つ一つの事象はさほど大きな被害をもたらすほどの威力を持ってはいない気象事象がいくつか偶然に重なって発生することにより、事態が重篤になる現象を指していました。
けれども最近では、気象事象(台風、ハリケーンなど)に限らず、いくつかの事象が同時多発することによる千載一遇の機会を指す場合にも使われるようになったようです。

この場合のperfectは逆説的な意味で使われているのでしょう。

「千載一遇の機会」は

a chance in a million: 百万回に一度
a rare opportunity:  稀な機会
a chance of a lifetime:一生に一度の機会

などという表現があります。


同時多発というとあの9・11同時多発テロが思い浮かびます。

同時多発テロを和英辞典で引いてみると

The 9/11 terrorist attack
a series of terrorist attacks
synchronized terrorist attacks
simultaneous terrorist attacks

などが載っていました。

意図的に同時発生させたのであればsynchronized(同期化された)というのが正確な訳ですし、意図的かどうかは定かではない場合はsimultaneous(同時)という訳語でよいでしょう。
A series of〜は一連のという意味なので、同時多発性はありません。

a perfect stormは「条件が揃う」ことが条件になるので
泣き面に蜂(Misfortunes always come in pairs.)
などと共通するところがあるかもしれません。


最近のIT分野では”destructive technology”という表現がよく使われます。
画期的なブレークスルーで、これまでの考え方が根本から覆されるような技術という意味で、destructiveと呼ばれています。(日本語では破壊的技術と訳されていて、私には違和感がありますが。) Destructive technologyとa perfect stormはこれからペアで使われるようになるかも知れません。