レベル別英語学習方法

今年も残りわずかになりました。
この1年を振り返りながら、英語学習の仕方について振り返ってみましょう。

TOEIC
最近は企業でも学校でもTOEICの点数を英語力の目安としているところが増えているようです。標準化されたシステムとしては悪くないと思います。またTOEICの点数を具体的な目標に掲げることも英語学習という掴み所のないゴールにとってはとても大切なことです。でもTOEICの点数は血圧の数字と同じであくまでも目安です。点数が上下変動することもあるでしょう。それに一喜一憂することはありません。客観的な数字を指標にしながら、リスニング力強化とか読解力強化というような目標も併せて立てると良いでしょう。


基礎力:初心に帰る
まず文の構造をしっかりと学ぶことが基本になります。5W1Hや時制、態など、中学・高校の文法の教科書を改めて見直してマスターすることは侮れません。高校レベルの文法を克服できれば、メールもある程度英語で書くことができるようになります。単語は辞書で引くことができますが、文の構造にはテンプレートがあるわけではないので。


中級レベル:フレーズやセンテンスの丸覚え
ある程度の基礎力がついてきたら、語彙を増やすことが英語習得の近道です。語彙は単語レベルではなく、フレーズやセンテンスで覚えると即戦力になります。覚えたフレーズは和訳して改めて英訳してみましょう。日本語的発想と英語的発想の違いが見えてくるようになりますよ。
またこのレベルになると、「聞き流し」法を活用して耳を慣らすことも効果的でしょう。聞き取れる単語が増えてきたら、文意を確認し、そのつもりで聞いているとさらに聞き取れる単語が増えます。文のリズムもつかみましょう。


上級レベル:日本語のレベルに近づける
ここまでくると参考書や学習書はあまりありません。ネイティブのテクニカルライターが書いた質の高い文章を読むことでスキルアップを図ることになります。それは新聞、雑誌、論説などが参考になります。
もう一つ大事なことは徹底した英作文の練習です。日本語でなら時事問題や専門分野の議論ができるけれども英語では無理という我々には、いかに迅速に頭の中で「和文英訳」ができるかがポイントとなります。知的な会話ができるようになるためには、日本語での思考を英語で出力することです。On-the-flyで、話しながら和文英訳することができれば良いのです。


学術論文の添削をしていても、英語で書かれた論文は中学生のレポートのようなレベルになってしまっているケースをよく見かけます。英語で書いているうちに、論旨が曖昧になったり、話が軌道からはずれて行ってしまったりすることがあるからです。そうならないためにも、自分の日本語での思考回路がただしく英語に変換されて出力できるように訓練することが必要となります。

上級レベルになると、最初から英語で考えるという中級レベルの訓練から、また「和文英訳」の訓練に戻るのです。けれども直訳ではなく、英語的表現に置き換えるという意訳、超訳が目標です。これはプロの通訳や翻訳者にも共通する学習目標です。


今年の皆さんの英語学習の成果はいかがでしたか? 英語学習の長続きの秘訣は三日坊主を繰り返すこと。途中で勉強を投げ出していても、また気が向いたとき、モチベーションが出た時にやり始めればよいのです。食べたい時はうまい時、ではないですが、やる気が出た時の勉強の方が効果的です。石の上にも3年。三日坊主を3年繰り返せば、中級レベル位までは到達できます。そこまで行けば、何とか通じる会話やメールくらいはこなすことができるでしょう。

それでは皆さん、よいお年をお迎えください。
I wish you a wonderful, prosperous, and happy new year!