品質管理 その3 故障解析 

品質管理はQuality Controlが定訳ですが、Quality Assuranceという場合もあります。
逆にQuality Assuranceは品質保証と訳す場合もありますので、先日も言ったように多対多の関係にあるわけです。


さて、返品したモジュールを修理品と交換してもらって、ユーザーとしては一件落着なのですが、メーカー側にはまだやることが残っています。故障原因の解明です。


目視検査:inspection

目視検査をして、本体の破損、亀裂、ハンダ付けのはがれなど原因がすぐにわかる場合もあります。

亀裂:crack
細い、顕微鏡で見なければわからないような亀裂はhair-line fractureと言います。

ネジの締め付けミスでねじ山が取れてしまった場合:The thread is stripped.
ねじ山:thread
ねじ山を取ってしまう:to strip

ネジがちゃんと締めていない、ハンダ付けが悪いなど、製造工程の作業品質は英語ではworkmanshipと言います。
Workmanship:人の手による製造作業の品質


目視検査では明らかな故障原因がわからない場合には各種試験をすることになります。この場合の試験はtestが良いでしょう。電気的試験や機械的試験が代表例です。
電気的試験:electrical test
機械的試験:mechanical test


ハードウエアでも問題が再現しないことがたまにあります。
非再現:Problem Not Found、Defect Not Found
再現手順はReplication procedureというように、問題を再現させる方はreproducereplicateという動詞を使うのですが、問題が再現しなかった=見つからなかったという場合、報告書にはPNFとかDNFというようにnot foundがよく使われます。


DNFになってしまった故障はさらなる解析をすることもあります。それが故障解析。故障解析にまでエスカレーションすると、製造工場ではなく、メーカーの設計担当者や開発担当者が関与することが多いです。
故障解析:Failure Analysis
ハードウエアの故障解析(FA)はソフトウエアのRoot Cause Analysis(RCA)に相当します。FAとRCAをハード・ソフトを意識せずにどちらでもOK(interchangeable)として使っている場合もありますが、ハードはFA、ソフトはRCAと分けているメーカーもあります。


FAの解析結果が出るまでにはかなりの時間を要することもあります。原因が偶然見つかったり、突然のひらめきで原因に気がつくこともあるのです。あるケースでは解析まで2年もかかった例があります。モジュールが比較的湿度の高いところに保管されていたのでしょう。空調のよく効いているマシンルームで結露が発生し、ショートが発生していたケースでした。