Give and Take: どちらが与えるほうでどちらが受け取る方?

もちろんGiveが与える方でTakeが受け取る方に決まっているではないですか。
そんなこと当たり前でしょう、と言われそうな気がします。


でも本当にそうでしょうか?

John, the caregiver of his terminally ill wife, collapsed from the stress.
余命いくばくもない妻の看病をするジョンは、その疲れからついに倒れてしまった。
caregiver = careをgiveする人 ですから、give は与えるという意味ですよね。


She hired a caretaker of her elderly mother.
彼女は、高齢の母親のために介護師を雇うことした。

この例文は、to take care of (人)からも容易に想像がつくように、caretaker=介護人です。
あれ? Takeが与えるの意味になっている?


そう、caregiver も caretaker も同じ介護者という意味なのです。


同じように混乱するのが outsource.
My company outsources IT tasks.
よく見かける文ですが、「ITのアウトソースしている」と言っても、他社に業務委託(外注)しているのか、業務を受託しているのか、これだけでは区別が付かないのです。

(この場合も、前後関係や文脈から、委託なのか受託なのかを判断して訳出するのがプロの通訳。)

My company outsources its IT tasks.
であれば、its ITを outsource しているのですから、おそらく外注でしょう。
「受託している」であれば、My company outsources IT tasks of client companies. または My company provides IT outsource service. と言えば誤解はありません。

同じ類はOEMOEMしているという時に、自社製品をOEM供給しているのか、他社製品をOEMして自社ブランドで販売しているのか、区別しにくいので要注意です。


同じ種類の例ではありませんが、oversee の例はどうでしょう。
To overseeは「〜を監督する」という意味の他動詞。
see の名詞形は sight だから、oversight は監督という名詞、と思いきや。
oversight は「うっかり見過ごす」という名詞なのです。

監督されているのに見逃された?


英語にはこんなパラドクスが少なからずあるのですよ。