Public は私立、Private なのにパブリック???

"Raytheon, a private company, is a partner in this project."

は、何気なく聞いていたラジオから耳に飛び込んできたフレーズ。
Raytheon はレーダーやミサイルなどで有名な軍事関係のハイテク企業。
Private companyと聞いて、「あれっ? レイシオンて非上場企業だったかしら?」と思ったのです。
有名な大企業でありながら、株式を上場していない企業は存在しています。

非上場企業(株式非公開企業)は privately-held company や privately-owned company と言います。
略してprivate company ということも少なくありません。

けれども、この文脈における private は民生の意。government(軍・官公庁)に対するprivateだったのです。


民生という日本語がまた曲者で、民生委員の民生と軍事・軍需に対する民生とは訳語がまったく異なります。
military に対比させる場合にはcivillian、公共に対する民生の場合はconsumer が適訳だったりもするのです。


public や private で思い出すのは、イギリスの学校制度。
私はイギリスの学校制度に詳しいわけではないのですが、パブリックスクールと言えばイギリスのイングランドウェールズにある私立の中等教育学校を指すことがあるのです。イートンカレッジがその代表格。パブリックスクールなのに、私立の寄宿制の男子校?と不思議な気がしたものです。


昔のイギリスでは、裕福な家庭の子弟には家庭教師がついて、ラテン語をはじめとする様々な知識が授けられたのだそうです。
家庭教師は tutor が定訳ですが、governess (『王様と私』に登場するような家庭教師のイメージ)という訳語もあります。
おかかえの家庭教師に比べれば、学校に行くというとことは他の子弟と勉学を共にするということで、すなわち公共(パブリック)の学校に行くということになるわけです。その当時の学校には公立とか私立という区分けはなかったのかも知れません。数百年前に創立された名門校はもちろん私立だったのでしょう。そこで私立のパブリックスクールの発祥となるのです。


時は流れ、義務教育(compulsory education, mandatory education)が施行されると、公費でまかなわれる学校が登場して公立のパブリックスクールとなります。
そしてさらに、公立学校の品質に不安を感じ、私立学校の主旨に賛同しない家庭は、ホームスクーリング(在宅教育)を実施するようになってきたのです。
ホームスクーリングはいくらアメリカでも「盛ん」というわけではないですが、代替案として認められています。

schoolと言えば学校ですが、schoolingと言えば教育、授業を受けるという意味です。

Private からだいぶ脱線してしまいました。