英語的発想に慣れよう! その4 時制

日本語と英語の時制は必ずしも一致しない、というよりも日本語は時制が曖昧な言語であるという例を挙げてみたいと思います。

例文:

ヤマダさんが、今度の学会を担当することになりました。

日本語では「〜なりました」とあります。

この文の時制は?  日本語では過去形か現在完了形のように見えますよね。

この例文の英訳にあたり、ミッキー理論のS+V法に従って、「〜になりました」に対応する主語をまず探して見ましょう。

ヤマダさんでしょうか?

ヤマダさんに対応する述語は、「担当する」ですよね。「〜なりました」に対応する主語は、原文には書かれていないのです。

先に、S+Vが明確な「ヤマダさんが担当する」を英訳しておきましょう。

Mr. Yamada will be in charge of the upcoming conference.

upcomingはnextでも良いです。nextであれば、次回のという意味なので、近日行われる会議でもその会議が来年開催される場合でも使えます。upcoming だと近いうちに行われるという意味なので、数週間後とか数ヵ月後をイメージさせます。

Mr. Yamada will be in charge of the upcoming conference.

という文で、「ヤマダさんが今度の会議を担当することになりました」と和訳することができるでしょうか?

「〜になりました」にこだわって、

It has been determined that Mr. Yamada will be in charge of the upcoming conference.

としたらどうでしょうか?

上記の文は、確かに原文の翻訳版として正確かも知れませんが、英語としてぎこちない不自然な文です。なぜならば It has been determined がこの文の一番大事なポイントではないからです。もしこれが一番のポイントであれば、いつ決まったのか、とかどのようにして決まったのかなどの情報(メッセージ)が必要です。なので単にIt has been determined だけでは、英語的には不安定なフレーズなのです。

Mr. Yamada was selected to be in charge of the upcoming conference.

これならどうでしょう?

It has been determined ~ よりはベターです。しかしこの場合、「ヤマダさんが担当する」ということよりも、「ヤマダさんが選ばれた」ことがこの文の主旨となることに注意しましょう。

もし「ヤマダさんが担当することになりました。」が原文の主旨であるならば、英語では

Mr. Yamada will be in charge of the upcoming conference.

で十分なのです。

原文の英訳と、英訳した文の和訳とでは必ずしも一致しません。それが、日本語と英語の違いなので仕方が無いのです。