NorthboundとSouthbound:上りと下り

日本の鉄道では、東京駅が起点となっており、東京駅着の方向が上り、東京駅発の方向が下りと定義されています。

IT(ネットワーク)の世界でも、「上り」「下り」という表現が良く使われます。

上りは Uplink
下りは Downlink

という英語が当てられます。

例えば通信事業者のネットワークでは、加入者宅へ向かう方向が「下り」、電話局へ向かう方向が「上り」とされています。
言い換えれば、中心に向かう方が「上り」で、末端に向かう方が「下り」となるわけです。


英語圏では、同じコンセプトを表すのに東西南北の方位を使うことがあります。
一説によると、地図が通常、北を上に、南を下にして描かれていることから、上りを Northbound、下りを Southbound と言うのだそうです。
上位の装置とのインターフェイスは従って Northbound interface、下位の装置とのインターフェイスSouthbound interface と言うのです。

  • アクセス層のトラフィックを束ねてアグリゲーション装置に送るのがNorthboundのトラフィック
  • データセンターの交換機について言えば、サーバー群に接続されているインターフェイスがSouthbound interface。
  • 上位のOSSシステムにデータを出力するインターフェースはそのネットワーク装置のNorthbound interface。
  • エレメントマネージメントシステム(EMS)のNorthbound interfaceとその上位にあるネットワークマネージメントシステム(NMS)のSouthbound interfaceとが接続されている。


中心に向かう方が上り = Northbound なので、概念化、抽象化することを Northbound と捉えることもあります。他方、下り = Southbound は具体化、詳細化を指します。


話は脱線しますが、南で思い出した表現があります。

「南へ行く (to go south)」

普通は It went south. とか It's gone south. のように過去や完了形で使うことが多いです。
「失敗した」とか「ダメになった」という意味です。
この表現は、南北戦争にその発端を持ついわゆる差別用語です。「南から来たものはすべてダメなもの」という偏見を表しているのがその語源です。