和文英訳攻略法その1 はじめに主語+述語ありき
我々、日本語を母国語とする人間の思考回路は日本語が基本である。
たまには、英語フレーズがすっと頭に浮かぶこともあるが、それはあくまでも「例外」で、通常は日本語で考えて日本語でそれを記録している。従って、英語で書くためには、どうしても和文英訳という作業が必要になる。
英語を攻略するには、和文英訳の練習をせざるを得ない。
これが現実である。
和文英訳攻略の第一歩は、主語と述語を押さえることにある。
例えば、
我々、日本語を母国語とする人間の思考回路は日本語が基本である。
この文は英語でなんというか?
皆目見当も付かないという人のために、まず日本語を解析してみよう。
英語構文はS+Vが基本。主語を表すはずの「〜は」と「〜が」がこの文には使われている。どちらがこの文の主語なのだろう?
述語は何か? 動詞ではなくて述語であることが、微妙なところ。
そう、「(基本)である」と思われる。
それならこの「(基本)である」に対応する主語は何か?
「日本語が」のようだ。
上記の文を分解すると
日本語が+基本である+思考回路は+我々の+日本語を母国語とする人間の
=>日本語が+基本である+思考回路(にとって)は+我々+人間の+日本語を+母国語とする
「思考回路」は普通の和英辞書には登場しない。こんなに日常的な表現なのに。
訳例1:The Japanese language is the bases of thinking for us to whom Japanese is the native tongue.
訳例2:Our thoughts is based on Japanese that is our native tongue.
訳例3:We think in Japanese that is our native tongue.
私なら、訳例1がacceptable, 訳例2がbetter、訳例3がmuch betterと評価するだろう。
でも訳例3を日本語に戻してみると、「我々は、母国語である日本語で考えている」となる。
我々、日本語を母国語とする人間の思考回路は日本語が基本である。
=>我々は、母国語である日本語で考えている
こんなに飛躍した「解釈」をしないと、自然な英文に訳すことはできないのである。
もうひとつ練習してみよう。
英語を攻略するには、和文英訳の練習をせざるを得ない。
主語は?述語は?
「英語を攻略するには」というのは目的を表すto不定詞になりそうだという見当は付く。
「せざるを得ない。」は動詞っぽいが、cannot help doingとなるのだろうか?そうだとするとその主語は?
日本語には主語の省略が多いことは良く知られている。
この例題ではWeもしくはYouを主語として補うか、もしくは目的語を主語にして受身形に作らなければならない。
英語を攻略するには、和文英訳の練習をせざるを得ない。
=>(私たちは)+せざるを得ない+練習を+和文英訳の+攻略するには+英語を
=>We must practice translating from Japanese to English to master English.
=>Keep practicing translation from Japanese to English is the way to master English.
日本語と英語はこんなにも違うのである。外国語というよりエイリアン語と言えるほど異なるのである。
我々日本人が英語習得に苦労するのは当たり前である。
と言ってばかりいても埒が明かないので、何とか英語として通じる英文に訳せる程度にならなければならない。
そこで私は「主語と述語」を探すことで日本語の構文の裏に隠された、本当の意味(本来の主語と述語)を見つけ出す訓練をすることを勧めている。残念ながら我々が書く日本語文では、主語を表すはずの助詞「〜は」や「〜が」が主語になるとは限らないのである。(ためしに自分が書いたメールの文を読んでごらんなさい。主語と述語が見分けられますか?)
和文英訳攻略の第一歩は、日本語と英語の構文がどれだけ違うかをあらためて認識することです。