hang 感触をつかむ

ラジオを聴いていて耳に入ったとても英語っぽい表現です。

I got the hang of it.
といえば、「わかりました!」「感触がつかめました」という意味。


You are getting the hang of it.
と言えば、「わかってきたじゃないか」と言う意味になります。


この場合の hang は名詞。「コツ」とか「扱い方」という意味があります。
hang には自動詞もあって、この場合は「たむろす(hang around)」や「引っかかる」「垂れ下がる」という意味になります。
パソコンが固まる、凍る、ハングるという時のハングはこの hang です。


「垂れ下がる」「吊り下がる」という意味の場合には、他動詞で「〜を吊下げる」→ 「絞首刑にする」という意味もあります。



To get the hang of it という表現に出会った時にそれを和訳するのはさほど難しくはないのですが、これが逆の場合、なかなかこの表現は思いつかないです。


「わかりました」をI understood.と訳すと、いかにも「頭で理解できた」というようなニュアンスを感じます。情報を解釈できたという意味の理解です。
口語表現に慣れている人であれば、"I got it." という表現を思いついたかも知れません。直訳すると「それを掴んだ」という意味ですが、「わかった」と言う時によく使われる表現です。

「感触が掴めた」には、頭で理解したというよりも、「体で覚えた」という語感があります。
でも"I got the feeling."では「そういう感じがする」「気持ちが惹かれる」という意味なので、意味が違います。
感触には tactile という言葉もありますが、口語表現で使うような単語ではありません。
「体で覚えた」を直訳して"My body remembers it." では、通じないことはないかもしれませんが、怪訝な目で見られてしまうかも知れません。


しかも、十分に習得できたというわけではなく、わかりかけてきたというのが the hang of it なのです。
I got a feel for it. ということもできます。


「わかりかけてきました」「感触がつかめてきました」という時にこの the hang of it を思いつくことができること、それが英語的発想なのです。


I hope you are getting the hang of what I am trying to say here.