英文法を勉強し直すことにしました。その3:いとこの友達のお姉さん

日本人は中学高校でかなりしっかりと文法を学ぶので、複数形の s や所有格の 's については基礎はしっかりしています。
けれども例外処理で躓いたり、ルールを忘れていたりすることもあるかと思いますので、一度おさらいしてみたいと思います。

まずは単数形名詞の所有格から
原則は 's をつけます。
girl → girl's
brother → brother's
family → family's

おそらく一瞬悩むだろうと思われるのが語尾が s で終わる単数形名詞
bus、class、boss
このような場合でも、's をつけます。
bus → bus's
class → class's
boss → boss's
Sが2つも3つも連続すると異様な感じがしますが、文法的にはこれが正しいのです。


一方で複数形名詞ですが、複数形ですので元々語尾は-sで終わっています。
なので、原則としては複数形名詞の所有格は '(アポストロフィー)のみを付け、sは省略されます。
(私自身、このルールをすっかり忘れていました。)
girls → girls'
brothers → brothers'
families → families'

familyは単数形だと語尾が-y、複数形になると-iesに変化する例でもあるので、ここに挙げておきました。

複数形でも語尾が -s で終わらないものは、単数形所有格と同じように 's をつけます。
women → women's
children → children's
people → people's

上記のルールは一般名詞のみならず、固有名詞にも適用できます。
California → California's
Grace → The Graces → The Graces'


それでは次に複合名詞を考えて見ましょう。このケースに関しては、学校で丁寧に教えてもらった記憶が私にはありませんでした。

例文:私はケンとメリーの友達に紹介してもらいました
皆さんだったらこの文をどう英訳しますか?

もし、紹介してもらった友人がケンとメリーの共通の友人(一人)だった場合には、ケンとメリーが対等格(一括りにできる)で「ケンとメリーの」友人ということで、
I was introduced to Ken and Mary's friend.
になります。所有格の'sの付け方としては(Ken and Mary)'s というイメージになるわけです。

もし紹介してもらった友人がケンとメリーの共通の友人でかつ複数の友人であれば、
I was introduced to Ken and Mary's friends.
になるはずです。

けれども、紹介してもらった友人がケンとメリーの共通の友人ではなく、ケンの友人とメリーの友人だった場合には
I was introduced to Ken's and Mary's friends.
ということになります。

こうなるともっと突っ込みたくなって、ケンの友人は一人だったけれどメリーの友人が3人だった場合にはどうするか、
I was introduced to Ken's friend and three of Mary's friends.


いかがですか? こうなってくると、たかが所有格、たかが複数形では済まされなくなってくると思いませんか?


それでは次のチャレンジです。
例文:私の友人の奥さんの妹はレストランのオーナーです
これはどうですか?
My friend's wife's sister is a restaurant owner. 
ですか?
The sister of the wife of my friend is a restaurant owner.
でしょうか?

's の所有格が2つ続くというのは違和感がありますよね。
of を重ねるというのも、不自然であり、耳にした時は特にその三者の関係をすぐには理解できそうにありません。

この場合は The sister of my friend's wife is a restaurant owner. と書き直すとすっきりします。

4段も5段も追っていかなければならないような関係であれば、's と of と関係代名詞 who を駆使して説明することになるのでしょうね。


それでは復習を兼ねて以下の練習問題をやってみませんか?スペルチェッカーがONになっていると、ヒントが見えてしまいますが、以下の例文の複数形と所有格の誤りを見つけて訂正してみてください。(出典:grammar.ccc.commnet.edu)

My friend's , the Rodriguez's , had a big family reunion last summer. They hadn't been together since the late 1980's , according to Carmen, and there were many cousins she hadn't seen since then and some new baby's she'd never met before. "Aunt Flo and Uncle Silvio's family had really grown," she said. Flo, who already had five kids of her own, had divorced and remarried and Flo's and Silvio's kids -- like a bunch of elves -- filled a minivan and two taxis . Fortunately, Flo and Silvio have PhD's in psychology with good incomes to match. "We should've leased busses for everyone," Carmen added.They had their big dinner down at that place owned by Joe Pagani, Paganis Ristorante, Illinois's most popular and expensive restaurant. It was jammed and familys kept arriving in bunch's until some people ended up sitting on box's and benches . The waitresses went crazy keeping up with the order's , especially with kids ordering from the childrens' menu. When it came time to pay the bill, they couldn't find Agnes's purse, and she had collected all the money. They had a lot of laughes about washing all those dish's until Uncle Antony found his baby girl, Eutrusca, curled up under his chair, sound asleep, using Agneses' bag for a pillow. Eutrusca hadn't waited for her grandpas long after-dinner speech to put her to sleep.

英文法を勉強しなおすことにしました:その2  同音異義語と類似語

今回のトピックは同音異義語(発音が同じで意味が違う単語)です。
同音異義語は英語ではHomonymと言います。似たような専門用語に異形同音異義語というのがあり、こちらは発音が同じでスペルも意味も違うものを指します。(Homonymには綴りが同じものも異なるものも含まれます。)

例:
compliment v. complement
fourth v. forth
cite v. site v. sight
peace v. piece
stationary v. stationery
hours v. ours

スペルチェッカーにはひっかからないので、私達もよく注意しなければならないミスですね。

我々日本人はほとんど間違えないのにネイティブスピーカー(とりあえずは米語のネイティブスピーカーというに限定しておきます)がよく間違えるのが、圧縮形人称代名詞の所有格です。

It's v. its
you're v. your
He's v. his

所有格目的格を正しく覚えていない現地の人も多いのにはびっくりです。
our v. ours
our v. yours
her v. hers
his v. him


厳密には同音異義語ではないけれど、綴りが良く似ていたり、音が良く似ているために間違えやすい単語というのもあります。それがこのタイトルにある類似語(Mixed-up words)。

desert v. dessert
rise v. raise
lay v. lie
affect v. effect
personal v. personnel
moral v. morale
except v. expect
quite v. quiet
insect v. incest




日本では、rise/raise、lay/lie、affect/effect辺りは受験問題にもよく登場するので、ネイティブスピーカーよりも正しく理解しているかもしれませんね。

ちなみにdesertは砂漠で「デ」にアクセントがありますが、dessertはデザートで「ザ」にアクセントがきます。
riseは立ち上がるという自動詞で発音は「ライズ」。サンライズと覚えておけば覚えやすいです。一方raise「レイズ」は何かを持ち上げるという他動詞。(ただし、賭け事で掛け金を上げるという意味の場合は自動詞です。)
layが何かを横たえるとか置くという意味の他動詞であるのに対し、自分自身が横たわるときはlieです。
時々「You are running a fever. レイ ダウン!」と言っているのを耳にすることがありますが、正しくはライ ダウン(Lie down)ですよね。
さらに脱線しますが、layはlay, laid, laidと変化し、lieはlie, lay, lainと変化するのでますますややこしいのと、lay には(卵を)産むという自動詞、lieには嘘をつくという意味(自動詞)もあります。

affectは影響を及ぼすという動詞で、effectは影響、効果という意味の名詞ですが、この両者を混同するケースは日米を問わずよく見かけます。
personalは個人のという形容詞、personnelはスタッフや社員という意味の集合名詞です。
moralはカタカナのモラルと同じで教訓、良心という名詞(形容詞として使うこともありますが)、moraleはモラールで士気、やる気という意味の名詞です。アクセントの位置が異なります。

except(〜を除いて)とexpect(期待する)、quite(とても)とquiet(静かな)、insect(昆虫)とincest(近親相姦)に至っては、文字の位置が異なっているだけです。ブラインドタッチができるようになるとついうっかりタイプミスをしてしまうことがあるので要注意です。頭では正しい方の単語を意識しているのに、指が勝手に動いてしまったケースですから、推敲をしても気が付かないことがよくあります。


上記のような同音異義語や類似語の他に我々日本人に多い間違いがLとR、VとBの間違いです。
その代表格がelection(選挙)とerection(勃起)。どちらも立つものではありますが、うっかりミスが許されないケースですね。
carb(炭水化物の短縮形)、curb(歩道の縁石)、carve(彫刻、肉を刻む)、curve(曲線)は私がいつも苦手に思っている類似語です。


私が受講している通信教育ではDiscussion Areaというコーナーがあって、受講生が質問を掲示したり、誰かの質問に答えたりできるようになっています。
そこにはconcilとcounsel、principalとprinciple、immanent/imminent/eminent など次々に同音異義語や類似語がUPされてきて勉強になります。


フェイスブックツイッターなどの書き言葉でコミュにーケーションを取るカジュアルな場では、うっかりミスからああ勘違いのミスまで様々なミスの宝庫です。これを機会に間違い探しをやってみるのも楽しみながら英語を勉強する方法の一つになるかも知れません。

英文法を勉強しなおすことにしました:その1 8つの品詞

実は、1月から地元のコミュニティカレッジの通信教育でネイティブスピーカー向けの英文法のコースを受講しています。

アメリカに来てから30年になりますが、帰国子女でもない私は日本の中学、高校で学んで以来、英語の基礎を勉強したことがありません。ESL (English as the Second Language)のコースは上級レベルでも優しすぎるし、職業柄ネイティブスピーカー並みのそれもかなり高いレベルの国語力(文法、語彙など)が必要である私はこれまでもずっと何とかしなければと思っていましたが、なかなか適切な教材やコースに遭遇するチャンスがありませんでした。実は私も相変わらず冠詞と前置詞に悩まされているのです。

そんな中で見つけたのがこの英文法コースでした。

さて、レッスン1は英文を構成する品詞の理解(Parts of speech)からのスタートです。


英語には品詞が8つしかありません。
名詞、代名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞、接続詞、感嘆詞
なので、英文の品詞分解は、特に各品詞の定義を理解していれば、とても簡単です。

名詞は人や物、場所、考えの名称です。
名詞を修飾するのが形容詞、そして名詞の前に来てその名詞と文のその他の部分との関係付けをするのが前置詞です。
動詞や形容詞を修飾するのが副詞。

例:
House Republican leaders proposed a three-month extension of the federal debt limit, a significant shift in GOP strategy.

House Republican(名) leaders(名) proposed(動) a(形容) three-month(形容) extension(名) of(前置) the(形容) federal(形容) debt(名) limit(名), a(形容) significant(形容) shift(名) in(前置) GOP(名) strategy(名).

冠詞は形容詞の一種です。
感嘆詞は、口語やインフォーマルな文には登場しますが、通常、書面で見かけることは無いです。


でもこの8つだけでは、品詞の「大項目」に過ぎず、文法の勉強としては少し不十分な感じ、消化不良感が残るので、もう少し掘り下げてまとめてみたいと思います。


名詞通名固有名詞に大別することができますが、普通名詞も抽象名詞(五感を使って感じることができないものの名称)、具象名詞(五感を使って感じることができるものの名称)にさらにわけることができます。
また切り口を変えれば、単数名詞/複数名詞に分けることもできますし、可算名詞/不可算名詞に分けることもできます。
その他、複数の単語が連結している複合名詞(tablecloth, troubleshoot, eyeglasses, sunlight, mother-in-law)や集合名詞(複数のものや人を一つの単位として見なす名詞。例:audience, team, group)もあります。


代名詞には、人称代名詞(I, you, we, he, she, it, they)、関係代名詞(that, which, whichever, who, whoever)、指示代名詞(this, that)、再帰代名詞(itself, myself, himself, herself, ourselves, themselves [あれ? 目的格なのにmeselfではなくてmyselfですね!])、疑問代名詞(what, who, which, whose, whom [howは名詞の代わりではないので疑問代名詞ではないです])などがあります。
実はその他に不定代名詞という、特定されないものを指す代名詞もあります。
anybody, anyone, anything, each, everybody, everyone, everything, either, neither, no one, nobody。


動詞には動作動詞連結動詞の二種類があります。
動作を表わす動作動詞には対象物(目的語)に動作をtransferする他動詞(transitive active:要するに能動形の他動詞)と動作をしている主体(主語)に動作をtransferする他動詞(transitive passive:受身形の他動詞)、アクションをtransferする必要がない自己完結型の動詞(自動詞:intransitive complete)の3種類があります。


中学や高校の英文法の授業で「アクションをトランスファーする」なんて説明を受けた記憶は全くありませんが、現地の人が英語を国語として学ぶ時はそういう説明をするのだそうです。


名前だけはやけに小難しそうな連結動詞は、イコールの役割を果たす動詞で、方程式の左辺の主語と右辺の名詞や形容詞をつなぎます。
be動詞の他にappear, become, seem, feel, look, stay, turnなどがあります。


動詞とよく一緒に登場するのが助動詞。変化形を考慮しなければ8個だけのようです。be, do, have, can must, may, will shall

〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

品詞分解ができたからと言って、英文解釈に役立つとは限りませんし、単数形/複数形、能動/受動、過去/現在完了など我々がよくおかすミスの防止しもあまり活躍しそうもないです。

けれども品詞を知らないと、構文解釈ができないですし、自分で書いた英文を添削する時に品詞分解が有効であると思います。特に形容詞と副詞を混同していないか、名詞の前に前置詞を忘れていないか、副詞なのに前置詞がその前に来ていないかなどはチェックポイントになります。

先日、ご近所の日系人のご家族(Ohshiroさんご一家)と一緒にお節料理を食べていた時のこと。

お節料理の一品一品には意味が込められているという話題になり、Mrs. Ohshiroが息子さんに
「マメな人間になってね。」
と言いながら黒豆を取り分けてあげました。


マメな人間かぁ。この時のマメって英語でなんというのかしら。
こういう何でもない普通の表現がなかなか英語では出てこない、というのがいつもの私の悩みです。


マメを広辞苑(第四版)で引いてみました。
何と、マメは「忠実」と書くのですね。知りませんでした。(もしくは忘れていました、かな?)


1)まごころがあること。真面目、誠実、本気。(こんな意味があるとは知りませんでした。「忠実」と書いて「マメ」と読ませるくらいですから、これが第一義の意味なのでしょう。

2)苦労をいとわずよく勤め働くこと。(Mrs.Ohshiroはこの意味で使っていたのですね。)

3)生活の役に立つこと。実用的。(この意味で「マメ」をあまり使ったことがないような気がします。)

4) 体の丈夫なこと。達者、息災。(昔は「マメで暮らす」と言う表現を聞いたことがありますが、最近では全然耳にしなくなりました。)


真心、誠実:sincerity, integrity, true heart
「マメ(誠実な真心のある)人間になってね。」はさしずめ
I hope you will become a man of integrity.
I hope you will be a man of sincerity.
というところでしょうか。true heartは何となく大げさで普通の会話にはあまり登場しないかも知れません。


苦労をいとわずよく勤め働くこと:
この場合の「苦労」はhardshipやdifficultyではなく、hard work、effortという意味ではないでしょうか。
苦労をいとわず = 努力を惜しまず と解釈できます。
ところが hardship(苦境、困窮)を使ってしまうと間違ったニュアンスになってしまうような気がします。
I hope you will become a painstaking hard worker who spares no effort.


達者や息災はどちらもhealthy, of good health
I hope you will enjoy your good health.


とまあ、こんな風に英訳できるわけですが、なぜこんな簡単な表現がスラスラ訳せないかというと、もちろん私の英語力に由来するところも多いわけですが、それ以外にこういう表現を耳にすることがないという現実があります。
①のBe a man of integrityはとてもアメリカらしい表現なのですけれども、相手の健康や長寿を祈るという習慣に私の30年間の在米生活で出会った記憶がないのです。ましてや「苦労をいとわずよく働きなさい」という表現においては、ホワイトカラー社会にいるせいかも知れませんが、全く耳にすることはないのです。勤勉てアメリカ社会では美徳にはならないのかしら? それとも「苦労をいとわず努力するのは当たり前」ということ?


年末年始に頂くグリーティングカード
I wish you a prosperous year.
と書いてあると、ああ、日本流の挨拶だなぁと思います。

決してそれが悪いということではなく、アメリカでは相手に対してprosperous yearが来ることを祈る文化がないのではないかということなのです。それと同じで、アメリカのクリスマスカードにはjoyとかhappinessとかpeaceとかをお祈りしてくれる言葉で一杯なんです。
May the peace and joy of the season be yours through the New Year.
直訳:この季節の平和と喜びが来る年を通してあなたのものでありますように。
意訳:良いお年をお迎えください。


そう言えば数年前、年末年始返上であるシステム開発プロジェクトに係わっていた時、元旦に「初詣を兼ねてプロジェクトの成功を祈願に行こう」という日本側からの提案に「神頼みしなければならないほど、我々の実力は信用されていないのか」とイギリス人の開発者は不満げでした。


いつもの通りかなり脱線しましたが、日本語らしい表現に限ってうまく英訳できないのが私の悩みです。
日本語では何の抵抗もなくすんなり受け入れられる表現が、英語になった途端に「こんな言い方するかしら?」と自信が持てなくなるのです。

文法的にはあっている正しい表現も文化的にはあっていないということなのでしょうか。

いずれにしても通訳たるものいくら違和感を感じるとは言え、何とかターゲット言語に訳せなければならないわけなので私はいつも不安です。

「あけおめ」と「良いお年を」は英語でどう言い分ける?

Happy New Yearに不定冠詞の「a」が必要か不要か、というFAQに回答しているサイトはたくさんあるので今更ながら、と思いながらももう一度おさらいしておきましょう。


「良いお年をお迎えください。」
I wish you a happy new year.

この場合には「a」は必須です。
一つは、これが文として完成した形を成しており、可算名詞のyearには不定冠詞が必要になるからです。

そしてこの場合、I wish you を省略して a happy new yearと言うことはできません。
省略してしまうと、「ある良い年」という名詞句になってしまい、その句だけ宙ぶらりんの状態になってしまいます。

蛇足ながら「良いお年をお迎えください」の賞味期限は12月31日までで、年が明けてしまうと使うことはありません。



「明けましておめでとうございます。」
Happy New Year!

これは決まり文句で、不定冠詞のaは不要です。
あるブログで「Happy Birthday!と同じと覚えておけば間違いない。」とすばらしいコメントを書いていた方がいらっしゃいました。

「あけおめ」の賞味期限はいつまでか、に関してはいろいろな意見があると思います。
2日から平常に戻るアメリカでは元旦の New Year's day のみ有効で、1月2日にHappy New Year!と言われると、
「元旦は昨日だよ。」
と言いたくなるという人にも出会ったこともあります。
けれどもNational Public Radioを聞いていたら、1月9日に行われたインタビューでも「新年明けましておめでとうございます。」という雰囲気の Happy New Year!をオープニングの挨拶に使っていましたから、必ずしも2日以降は使えないということではなさそうです。

鏡開きと同じで(?)「あけおめ」も1月11日あたりが賞味期限ではないかと思いながら毎日ラジオを聴いています。


元旦のNew Year's dayになぜ定冠詞が不要なのか、いまだに理解できません。
でも先ほどのHappy Birthdayではありませんが、クリスマスは the Christmas とは言わないので、元旦も the New Year とは言わない、と説明されれば妙に納得してしまいます。

そこでハタと気が付きました。
New Yearとnew yearは異なるのだということに。
New Yearは元旦で、new yearは新年なんですね。
一年のうちで元旦はその日しかないので特定する必要がないのです。だからtheも不要。
一方 new yearは毎年 new yearがやってくる、だから通常は a new yearで、特定の新年を指したい時はthe new yearになる。
というのはこじつけかしら?


aの無いあけおめは全て大文字のHNY。
aのある良いお年をは小文字のhpy。

Use Case

最近、IT企業の製品説明の中にこの「Use Case」という表現がよく登場する。

文脈から判断すると、「用途」という意味なのだが、通訳する場面でいろいろな訳し方があることに気が付いた。

ユースケース」とそのままカタカナ語を使う場合もあるが、「利用シーン」という表現を耳にした時は我が意を得たりという気分になり、以来、この「利用シーン」を愛用してきた。

ところが、今、ある論文の翻訳をしていて「適用領域」という表現に遭遇した。
なるほど。
私が今まで「用途」と訳してきた場面ではこの「適用領域」や「適用例」と言う表現がしっくりくる場合が多々ある。

Greece’s Caretaker Administration:ギリシャの暫定政権

ギリシャは連立政権に向けての協議が決裂し再選挙が決まったことで、同国のユーロ離脱の可能性は一層高まってきました。
当面の対応として、来月に予定されている総選挙まで暫定政権が組閣されます。

英語ニュースでは、caretaker administration とか caretaker cabinet という用語が使われています。
1月20日のコラムでcaretaker と caregiver はどちらもケアを提供する側を指すと書いたばかりなので、この「caretaker」政権がどう和訳されるのかとても関心がありました。


ここ数日の新聞では、caretaker administration は、「暫定政権」と意訳されているようです。
確かに、caretaker を「介護政権」と直訳したのでは、却って何を指しているのかわからなくなってしまいそうです。
それよりも、原文のcaretaker にこだわらずに「暫定」を強調した方が読者にとってはやさしいのかも知れません。


同じギリシャ関連で、5月18日付けウォールストリートジャーナルウェブ日本語版に以下のようなサマリー記事を見つけました。

Returning to a national currency after more than a decade of using the euro and having its money managed by the ECB would catapult Greece into a financial, legal and political no-man's land.

 ギリシャが10年以上使っているユーロから離れて独自通貨に戻り、ECBの監督からも離れると、同国は金融、法律、政治的に危険な無人地帯に放り出されることになる。

ここで言う「無人地帯」とはどういう意味なのだろう、その中身の見当がつかなかったので調べてみました。

どうやら、語源は第一次世界大戦の頃に遡るようです。(ウィキペディア no man's land参照)
誰の領地(日本流に言えば「藩」)なのかを巡って紛争が起きており、その政情不安、相手からの攻撃を恐れて誰も住んでいない地帯を「無人地帯(=no man's land)」と呼ぶのだそうです。オックスフォード英語大辞典によるとno man's landが初めて使われたのは1320年のことのようですが、一般に広く使われるようになったのは1914年第一次世界大戦の時だそうです。

無人地帯」は、両軍の激しい攻撃の対象になっている地帯で、わずか数メートルの幅(第一次世界大戦)のこともあれば、数十キロ(冷戦時代のキューバ)の幅のこともあったようです。

いずれにしても「無人地帯」とは「非武装地帯」の反対の状態を表わすように思えます。


さて、ギリシャが「無人地帯」になるとはどういうことなのでしょうか。ユーロ圏に残るかドラクマに戻るのかの整理が付くまで、誰もギリシャにお金を置いておきたくないということなのでしょうか。もうこの数日で多額の預金引き出し、資産の現金化が始まっているという報道もあります。